膝蓋骨脱臼(パテラ)

膝蓋骨脱臼(通称:パテラ)
小型犬に最も多いとされる遺伝性疾患の一つで、一般の愛犬家の皆さんなら必ず一度は耳にしたことがある病名かと思います。膝のお皿が外れる病気で、遺伝性(先天性)と後天性に分けられます。また症状は各グレード(症状)に分けられており1~5まで段階的に症状の軽いもの(グレード1)から重いもの(グレード5)とされています。
グレード4ないし5と診断された場合は通常獣医師により手術をすすめられるケースが多いですが、昨今では遺伝性で幼少期から膝蓋骨脱臼(パテラ)を発症していて、尚且つそれがその犬にとって普通の生活の状態で無理がないと認められた場合には、手術を無理に行わないといった流れになってきているそうです。この場合は、後天的要素の子はケースバイケースのようです。
結局、無理に手術をしたが故にリハビリなどで苦労されるオーナー様などもいらっしゃるそうで、定期的なレントゲン検査などで獣医師とオーナー様と話し合いを行い、どうするのか決定するという、犬の今ある生活を重視した形になってきています。
膝蓋骨脱臼(パテラ)の遺伝的要素と後天的要素
トイプードル:ブラック膝関節にある膝蓋骨(私たちがお皿と言っているもの)が外れることで、本来ならば大腿骨の溝にはまっているのが通常ですが、これが遺伝的(先天的)要素のあるものだと、溝が浅く外れやすかったり膝の靱帯が緩んでいてお皿が内側に外れやすくなったりします。
膝蓋骨脱臼には内方脱臼と外方脱臼というのに分かれ、小型犬では主に内方脱臼と言われています。一般的に膝蓋骨が脱臼しても痛みはないといわれているそうですが、外れていると後肢に負重をかけられないために片足飛びのような状態となります。排泄する時などの膝の角度や仕草で発症しているのかどうなのか、また日頃のお散歩などで歩行がおかしくないかなどを判断したり、獣医師による診断などで現状がどの程度なのかを診てもらうことが必要となります。
後天的要素として挙げられるのが、交通事故や普段の生活ではフローリングの上で長い間生活し、また、階段などで徐々に膝に負担をかけることによってこの病気を発症してしまうことも多々あります。そして、肥満などによっても発症することもあります。特に避妊去勢をした場合は、ホルモンのバランスによって太りやすくなりますので特に注意が必要です。
遺伝的要素なのか後天的要素なのか
獣医師が一番診断に躊躇するのが、この遺伝(先天)的要素によるものなのか後天的要素なのかということだそうです。新たに子犬を迎えた際に、ある程度の日数が経って受診された場合は、非常に悩むそうです。繁殖者の問題なのか、またショップでの扱いの問題なのか、その家族の扱いや生活環境なのかどうなのかと決定的なことが言えないというのが、獣医師の率直な意見だそうです。また、獣医師にもパテラを軽視する、膝の状態が分からないといった医師もいるのが実際だそうです。もし、このパテラを重大疾患とお考えの方がいましたら、子犬を迎えた際は専門分野として活躍されている獣医師に診断を仰ぎ、現状を把握されるのが一番よろしいかと思います。
また、このパテラは成長期によってはお皿がしっかりとはまってしまうこともあり、だいたい1歳過ぎまではどうなるか分からないといったこともあるそうですし、その逆で、1歳過ぎで発症した場合など、どちらなのか不明ではあるけれども仮に遺伝性の場合による発症は、かなり重症化するのではないかと言われています。この場合は、幼少期の発症の方が犬の負担が少ないそうで、1歳過ぎの発症は比較的手術を行うことが多々あるそうです。
一般的に2歳ぐらいまでに特に何もなければ遺伝的要素はないと見ていいのではないだろうか…といった曖昧な診断が現状のパテラの実際です。
トイプードルの各タイプの存在
小型犬の中のトイプードルも非常に多くの子が発症している一つがこの膝蓋骨脱臼(パテラ)です。トイプードルに限った内容にはなりますが、この病気の発症の多くはあるタイプに偏っているのではないかと感じています。
【アメリカ系と英国(イギリス)系トイプードルの違い】
まず、トイプードルは大きく2つの系統に分類されます。アメリカ系と英国(イギリス)系です。この違いはまずどういうことなんでしょうか?
【アメリカ系トイプードルとは?】
アメリカ系統のトイプードルはマルチーズやビションと言った犬種を交雑させ、小型化させてトイドッグとして確立した経緯のあるのがこのアメリカタイプのプードルです。マズルの詰まった可愛らしく、華奢な体型が多いのが特徴で、まさに愛玩犬といえるのではないでしょうか?主にホワイトやシルバー、レッド、アプリコットなどこのタイプに多いと思われます。
【英国(イギリス)系トイプードルとは?】
英国(イギリス)系統の多くはスタンダードプードル→ミニチュアプードル→トイプードルと変化を遂げてきました。それぞれのサイズの中で小型同士を交雑させ、小型化されたのが今のトイプードルです。骨がしっかりとしたマズルの長い、本来のプードルらしさのある風貌が特徴です。主にブラック、ブラウンがこのタイプに多いと思われます。
膝蓋骨脱臼(パテラ)での各タイプによる比較論
トイプードル:ホワイト主にアメリカ系統と英国(イギリス)系統に分かれていることと、それぞれの特徴をお話しましたが、膝蓋骨脱臼(パテラ)に注目してみるとどちらが比較的発症率が多いかどうかを見てみると、アメリカ系統が圧倒的に発症している率が高いと思われます。
まず、その理由としてトイプードルとして確立するためにマルチーズやビションなどを交雑させたことが一番の理由と考えられます。もともと小型犬全般に言えることですが、元来小型犬は人間が愛玩目的で作られた産物であり、犬としての本来の姿を維持しつつも無理に小型化させたという経緯があるのです。無理に小型化しているのですから、何かしろの健全性が無視されて繁殖されてきたと考えるのが妥当でしょう。それがアメリカ系統に特に膝蓋骨脱臼(パテラ)は顕著に出てきているのではないでしょうか?
では、英国(イギリス)系統は健全なのかというと、残念ながら健全とは言い難いです。アメリカ系統と同じくパテラの子はおり、一部のブリーダーによって無視され繁殖されてきているのも事実です。が、しかし、パテラ発症率から見ると、英国(イギリス)系統の方が確実に少ないと言えます。まず、トイプードルの作られた経緯がスタンダードプードル、ミニチュアプードルと小型化されて来ており、骨格など小型犬とは言い難いぐらいに太くしっかりとしています。根本的な骨の作りがまず違うのが英国(イギリス)系統の特徴であります。その点からも、このタイプにあまり見られないと言った理由が挙げられます。
膝蓋骨脱臼(パテラ)排除への道筋
現代社会において遺伝子検査が出来る環境となり、DNA検査は日々進化しています。しかしながら、この膝蓋骨脱臼(パテラ)の遺伝子検査は確立しておらず、家族性などを調べて選択交配していくしか方法はありません。このパテラの遺伝子は一応のパターンは発見されているそうですが、あまりにもこのパターンが多く、決め手となる結果が得られていないのが現状です。トイプードル:ブラックとにかく、交配するもの同士のそれぞれの家族性、つまり過去に遺伝的に発症しているのか否かを一つ一つ検証していくしか方法がなく、それは現実的ではないのが現状であり、排除には気の遠くなるような研究と時間が必要となります。しかしこの遺伝子検査が確立されれば、このパテラというものそのものがなくなり愛犬がのびのびと動き回れる様を見れるのも夢ではありません。
ただ、確立されるまでの間は多くのデータが必要となり、そのデータを元に交配・繁殖をしていくしかないという厳しい現実があります。
いかにどれだけリスクを減らし、生まれ来る子が問題なく元気で過ごせるか…。膝蓋骨脱臼(パテラ)を重視しているブリーダーは意外と数が少ないですが(その分、他の疾患など重要視している場合もありますが、全く気にしない繁殖屋も存在します。)、その数少ないブリーダーたちと共に日夜研究し、いずれはパテラを気にしなくても良い健全性の高いトイプードルを誕生させたいと常々思っています。

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