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進行性網膜萎縮症(prcd-PRA)
進行性網膜萎縮症(prcd-PRA)
網膜の血管が壊死していく原因不明の遺伝性疾患であり、最終的には完全に失明してしまう大変怖い遺伝性疾患の一つです。
近年になってprcdと呼ばれる遺伝子を発見したことから、遺伝子検査で繁殖をする前に調査出来るようになり、発症のリスクを抑えられるというのが繁殖現場での現状であります。
トイプードルでは5~8歳前後に発症すると言われているが、あくまでも一般論で、実際のところは分からない。だいたい、5歳以降という中齢期に入ってくるといろいろと愛犬の様子に変化が出てくる。その様子が多く見られるのが5歳前後以降であることから、それぐらいで発症するのではと言われており、多くは白内障と併発して分かるようだ。
ちなみに、PROGRESSIVE RETINAL ATROPHYの頭文字を取ってPRAと一般的に呼ばれており、その中の何百種類とある遺伝子の一つがprcdという一つの遺伝子変異体を指している。
ようやく何百とある網膜の病気の一つが解明されつつあるということだ。
prcd-PRAの実際の様子
さて、前述の中で中齢期になると分かるようだと書いたが、実際良く観察してみると初期症状が出ていることがある。
突如として不安がる。
じーっと何かを見ている時間が長い(凝視している感じ)
あまり動きたがらない。散歩に行きたがらない。
イライラする様子が伺える。
知らない音に対して異常に敏感になる。
これは一体どういうことだろうか?
徐々に視界が狭まっていると見ていいのではないだろうか。
獣医師の見解によると、おそらく初期の状態は眼の前が薄い膜がかかったような感じであるが、だいたいの形や物の認識は出来ているのであろう、ということだ。
これが月齢とともに視野が狭まって行き、夜盲症を発症することとなる。字のごとく、夜間の視界はほぼ見えないと思って良い。
このころになると、夜に限ってまたは暗い所では、壁にぶつかったり、夜間の散歩に行きたがらない、動かないなど症状が出てくる。
そこで初めて飼い主が気づくパターンがまず一つある。しかし、ここで気づく分にはサプリメントなどで進行を遅らせるなどの対処も出来るが、殆どが失明してからが多いのが現状だ。
犬はもともと嗅覚聴覚が発達しており、視力そのものはそれほど良いとは言われていない。
それに、今の犬たちは殆どが家庭内で飼育されているのが当たり前で、毎回家具の位置やら建て替え、引っ越しをするわけではないから、若年齢で発症していたとしても、感覚的に覚えていて飼い主が失明したと分からないといったのもこの病気が広く世間に浸透しない所以であろう。
聴覚や嗅覚で十分に生活出来てしまうのである。
遺伝交配図
昨今では遺伝子検査が出来るようになったこのprcd-PRAだが、主に"ノーマル、キャリア、アフェクテッド"という形で診断される。
※ 以下遺伝イメージ
ノーマル
⇒発症しない
キャリア
⇒継承遺伝子を持つ
アフェクテッド
⇒発症するまたは可能性あり
上記の診断内容により、prcd-PRAの発症リスクを抑える繁殖計画を立てることとなる。
以下の交配図は単純にメンデルの法則に基づき、繁殖の割合を確率的に予測したものとなる。
なので、必ずしもこの通りではなく、あくまでも繁殖する上で産まれるそれぞれの遺伝パターンの出現割合であることに注意してもらいたい。
例えば、キャリア同士の交配の場合を例に挙げると、確立予測では上記の図のような形となるが、実際には50%ノーマルかもしれないし、全てアフェクテッドかもしれない。また、100%ノーマルかもしれない。
そう考えると非常にリスクの高い交配・繁殖をしているのが理解出来ると思う。このことから、キャリア同士やアフェクテッド×キャリア、アフェクテッド同士はprcd-PRAの発症リスクだけを考えると避けるべきである。
しかし、prcd-PRAだけを考えただけの交配や繁殖は、別の遺伝性疾患を誘発する可能性も含まれており、より健全性の高い個体を作り上げるにはあらゆる可能性を考えた上で交配・繁殖をしなくてはならない。
あくまでもprcd-PRAと呼ばれる遺伝子だけの話であり、同じ網膜の遺伝性疾患などを保証しているものではない。prcdという変異型の遺伝子のことであり、PRAといわれる網膜に関する全てのことではないので、100%大丈夫はありえないのである。ここは是非とも間違えないで欲しい。まだ何百というPRAの他の遺伝性疾患があるのです。
診断と遺伝子検査
国内ではトイプードルをはじめとして、ミニチュアダックスフンドなどもこの疾患が多いとされています。しかしながら昨今では、口腔粘膜を採取して遺伝子情報を知ることでprcd-PRAの発症するような個体同士の交配・繁殖は避けられてきています。いずれは、prcd-PRAに関しては発症するような個体の子はいなくなるものと思われます。
【動物病院での進行性網膜萎縮症の診断】
まず、動物病院では発症しているか・していないかの診断が基準となります。この場合、遺伝子レベルでの診断はないということで、いわゆる遺伝子上で言われる「キャリア」の子も病気を発症していないと診断されてしまいます。「キャリア」の子は遺伝子上では「継承する遺伝子を保有している」と判断されます。
動物病院では主に、検眼鏡検査・眼底検査などで診断を行います。 つまり、繁殖を考えている場合は動物病院の診断では非常に危険であるということがお分かりになるかと思います。
これを回避すべく、確実なものの判断の一つとしてブリーダーたちは率先して遺伝子検査を行っているのです。
【遺伝子検査とは?】
先にも述べたとおり、遺伝子検査を行うにあたって口腔粘膜を採取する必要性があります。
採取した口腔粘膜より遺伝子を抽出し、遺伝子配列(DNA)を調べ遺伝子変異があるかどうかを調べます。
遺伝子は全ての生物の細胞内にあり、塩基配列の並びにより決定されています。その塩基配列の並びに変異(欠陥・置換・欠失・挿入など)があることで遺伝性疾患の有無を調べるものです。一般的にメンデルの法則により、親から子へ伝わります。この変異配列があることで遺伝病として代々受け継がれることとなります。
この配列を調べることにより、遺伝病の発症のリスクを事前に回避しようというのがこの遺伝子検査となり、繁殖をする上では非常に有益な手段の一つとなっています。
ただ、トイプードルにおいてはこのprcd-PRAだけしか遺伝子検査でわかるものはありません。他は未だ研究段階や未発見のものなどがあり、その他の遺伝性疾患については家族性などで判断していくしかないのが現状であります。
しかし、現段階においてたった一つであっても遺伝性疾患を回避出来るのですから、素晴らしいことではないかと思います。
治療と予防
この進行性網膜萎縮症(prcd-PRA)は遺伝性疾患のため、現代の獣医学医療では治療することは不可能です。進行していく様をただ手をこまねいて見ているしかないのです。
ブリーダーたちがこの遺伝子検査を実施し、現在ではある程度の発症リスクを負った子犬は産まれてきていないと思われます。後は、素人繁殖やパピーミルと呼ばれる人たちの犬たちが一体どうなのか…といった所でしょう。
予防も遺伝性疾患のため、気休め程度のものしか存在しません。いわゆるサプリメントによる進行遅延です。成分としてはビタミンEが含まれているものを投与すると良いそうですが、効果のほどはいかがなのでしょうか?
抗酸化作用に優れているアスタキサンチンなど摂取するようにし、PRAだけでなく、白内障予防やガン予防などにも効果があると言われているそうですので、この病気に限らずとも、愛犬の健康のためにもサプリメントなど利用して見るのもいいのかもしれません。
ただ、効果はあるのかどうかは不明です。
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